旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
12時を過ぎ、昼休み。
今日も資料室にひとりやってきた私は、ぐったりとため息をついた。
「はぁ……やっと休憩。疲れた」
資料作成の内容は細かいし、その合間に営業の電話や取引先からの確認もあるし……疲れた。だけどあと少しで終わりだ。
自分の仕事もあるから少しだけ残業になるかもしれないけど、でも終わりが見えれば気持ちは楽だ。
そう思いながら、手にしていたミニトートからお弁当箱を取り出した。
ぱかっとフタを開けて見ると、そこには卵焼きと唐揚げ、サラダと彩りのいいおかずが詰められている。ごはんもしそとわかめの混ぜごはんだ。
おぉ、美味しそう……!
いつもならお昼ご飯は、コンビニで買ったもので済ませてしまう。
だけど今朝、『いつも愁さんのお弁当を作ってるついでですから〜』と小西さんがお弁当を作ってくれた。
ていうか津ヶ谷さん、お弁当持ちだとは聞いていたけれど、小西さんが作っていたんだ。
さっそく唐揚げをひと口食べると、冷めてもおいしく、小西さんの工夫を感じられた。
見た目だけじゃなくて本当においしい……。
もぐもぐと箸をすすめながら、行儀が悪いと思いながらもスマートフォンを取り出して涼宮くんの動画を見る。
美味しいお弁当を食べながら大好きな涼宮くんを見る……なんて贅沢で幸せなの。
「うわ……アニメおかずに弁当食うとか、ないわ」
「わっ!?」
すると、突然背後から聞こえた声。
それに驚き振り向くと、そこでは津ヶ谷さんが嫌なものを見るような目でこちらを見ていた。
突然の彼の登場に、私は慌てて動画を止める。