旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「別におかずにしてるわけじゃないです!それにご飯の時くらい好きなもの見てもいいじゃないですか!」
口を尖らせ反論し、スマートフォンをバッグにしまう。
もう、折角の息抜きタイムにまで現れて嫌味を言うなんて。
「ところで、どうしてここに?」
「食堂で飯食おうとしたら女子がうるさくて逃げてきた。で、どこで食おうか考えてたら、ここのことを思い出してな」
そう言って、お弁当箱が入っているのだろう袋を持った彼は私の隣に腰を下ろす。
津ヶ谷さん普段外回りでお昼時もいないから、いるだけで女性たちは大騒ぎなんだよね。
その中心に囲まれる彼の身になると、確かに逃げたくもなってしまうかもしれない。
つい苦笑いをこぼしていると、ぱかっとお弁当を開けた津ヶ谷さんの手元が目に入る。
するとそこには、小西さんお手製の、私のと中身が全く同じお弁当。
おまけにお弁当箱とお箸は、私が赤で彼が黒という以外は全く同じお揃いだ。
「ふたり揃って人前で開けなくてよかったですね……」
「そうだな……」
こんなの、私たちカップルですと言っているようなものだ。
小西さん……わざとなのか、たまたまなのか。
『新婚さんですから!ラブラブでいいじゃないですか!』とはしゃぐ小西さんの姿が、簡単に想像ついた。