旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「桐島さん、本当にありがとうございました!助かりました!!」
「どういたしまして。昨日のデートは楽しめましたか?」
「はい、おかげさまで!」
「それにしても、この量をひとりでなんてさすが桐島だな!」
改めて感心するように言う先輩に、いつもなら『そんなことないです』と恐縮したように受け入れるだろう。
だけど、昨夜の津ヶ谷さんの言葉を思い出す。
『だから、たまには頼ってこい』
いつだって完璧でいなくても大丈夫だって、彼が教えてくれたから。
ほんの少しだけ、仮面を重ねる手を止めて。
私は笑顔のまま、首を横に振った。
「いえ、さすがにひとりでは難しくて。津ヶ谷さんがお手伝いしてくださったんです」
その反応は予想外のものだったのだろう。
「えっ」と声を出す先輩が津ヶ谷さんのほうを見ると、津ヶ谷さんも驚いた顔でこちらを見ていた。
「そ、そうなのか?津ヶ谷」
「あ……はい。夜忘れ物とりに戻ったらまだ桐島さんが残っていたので。さすがに彼女ひとりで片付けるには多すぎたかなと」
津ヶ谷さんの言葉に先輩たちも納得したように頷く。