旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「桐島の性格上、全て断ることは無理だろうからな。困ったとき、たまには少しくらいなら、力を貸してやらないこともない」
照れくさいのか、少し不機嫌そうにこちらを見た。
上から目線だし、やっぱり素直な言い方じゃないし。
だけど、実はとても優しい人なんじゃないかなって初めて本当の彼を知る。
頭に触れた大きな手のぬくもりがうれしくて、つい笑顔がこぼれた。
「はい……ありがとうございます」
本当の私を知っても、こうして力を貸してくれる。
頼っていいんだって、言ってくれる。
この人となら、形ばかりの夫婦を始めてみるのもいいかもしれない。
なんて、そう思えた。
それからようやく仕事を終えたのは23時すぎのことだった。
帰宅をして小西さんが作り置きしておいてくれた晩ごはんを彼と食べて、そしていつも通りの朝が来る。
そして、出勤後のオフィスには、皆の「おおっ!」とざわめく声が響いた。
「スゲー!終わってる!」
「さすが桐島さん!」
昨夜作り終えた大量の資料を見て、上司や先輩たちは驚きと歓喜に沸いたように騒ぐ。
中でも発端の女性社員は涙目で私に抱きついた。