旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「あーっ、疲れたー!」
声をあげながら部屋に入ると、私はヒールを脱ぎ捨てる。
ストッキングも即脱いで、ひらひらとしたスカート、少し高いジャケット、小ぶりなダイヤのネックレスも、全て取っ払う。
そして少しよれた着古したジャージにすぐ着替えた。
綺麗に巻いていた髪は一本にまとめ、前髪はクリップで留め、コンタクトも外してメガネにする。
もちろんメイクも即落とし、まっさらだ。眉は薄く目も小さくなるけれど、そんなことはもうどうでもいい。
そしてすぐテレビの電源を入れると、録画してあった番組をつけた。
画面にパッと映し出されたのは、二次元のかっこいい男の子たち。
キラキラな衣装を身にまとい、マイクを片手に踊るアイドルを目指す男の子たちのアニメだ。
「あぁ……会いたかったよ、涼宮くん!相変わらず今日もイケメン〜!!」
先ほどまでの余裕な微笑みはどこへやら。だらしなくにやけた顔で、ひとりテレビに向かって声をあげる。
そう、これが本当の私だ。