旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「ありがとうございます、津ヶ谷さん」
こぼれた笑みを隠すことなく津ヶ谷さんに向けると、彼は少し照れくさそうに顔を背けて歩き出す。
それに続くように歩き出す足元は、先ほどよりスムーズに歩ける。
津ヶ谷さんの顔の位置が、さっきより少しだけ高く感じる。
だけどこの距離感がどこか嬉しいと思った。
それから私と津ヶ谷さんはしばらくいろんなお店を見て回り、レストランで軽くごはんを食べて、と普通にデートを楽しんだ。
「私ちょっとお手洗い行ってきますね」
「あぁ。この辺りで待ってる」
途中、私は津ヶ谷さんと離れ、近くにあるトイレへと向かう。
なんか……津ヶ谷さんと普通にデートしちゃってるなぁ。
津ヶ谷さんも意外とお店とか付き合ってくれるし、さすがというか女性の扱いに慣れている様子だ。
夫婦のふりのためのデート、そうわかっていても嬉しい自分がいる。
トイレを済ませ津ヶ谷さんの元へ戻ると、先ほど別れた所で彼は壁に寄りかかりスマートフォンをいじって待っていた。
駆け寄ろうとすると、通路にはそんな津ヶ谷さんを見てキャッキャとはしゃぐ女の子たちがいる。
「見てあの人、超かっこいい」
「本当だ〜。彼女待ちかな、立ってるだけで絵になる!」
さすが津ヶ谷さん。会社内だけではなく、こうして外でも女性の視線を集めている。
確かに、綺麗な顔してるもんなぁ。背も高いし、目立つ雰囲気もまるで芸能人……。
「声かける?番号とか聞いちゃう?」
「ね、いってみようか」
考えているうちに女の子たちは津ヶ谷さんに声をかけようと作戦を立て始める。