旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



うう、なんだか合流しづらい……。

『あんなのが連れ?』と冷たい目を向けられるのを想像すると、近づくことを躊躇ってしまう。

するとちょうどこちらを見た津ヶ谷さんと目が合う。



近づくに近づけない状況の私と、その横でスマートフォン片手に声をかける気満々の女の子たち。

そんな光景になんとなく察したのだろう。津ヶ谷さんは王子モードのにっこりとした笑顔を見せる。



「彩和、やっと来た。待ってたよ」

「へ!?」



そして突然こちらへ近づくと、私の肩を抱いて歩き出す。



「つ、津ヶ谷さん?」

「遅いから心配してたよ。彩和はかわいいから、他の男に声かけられてるんじゃないかって」



そんなセリフを言いながら、津ヶ谷さんは私の額にチュッとキスをする。

い、いきなりなにを……!



「……これくらいやれば周りの奴も引いて寄ってこないだろ」



横目でちらりと見れば、先ほどまで気合い充分だった女の子たちは「ら、ラブラブ!」と頬を赤くし騒いでいる。



本当手馴れてるなぁ……!

肩を抱かれて歩きながら、頭ひとつ近く高い位置にある津ヶ谷さんをじろりとみる。



「さすが津ヶ谷王子は手馴れてらっしゃいますね」

「なんだよ、その嫌味っぽい言い方」



チクチクと刺すような言い方をした私に、津ヶ谷さんは苦笑いをこぼす。

ふん。好きな人相手じゃなくても、人前で頬にキスできちゃうなんて。さすが慣れてる人は違うんですね。

拗ねたように言って、そういえばとふと思い出す。


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