旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



「あれ、でも今朝小西さんの話では普段津ヶ谷さんが出かけてる様子もなかったって言ってましたけど。彼女とかいなかったんですか?」



小西さんの話を思い出しながらたずねると、津ヶ谷さんは私の肩から手を離し、頷く。



「ここ一年くらいはな。仕事も忙しかったし、休日くらいひとりでゆっくりしたかったし」



そっか……そうだよね。

津ヶ谷さん、ただでさえ仕事も営業部の中で一番忙しいし、人前ではこの王子姿だし。

たまにの休みくらい息抜きしなくちゃ疲れちゃうよね。



はっ、もしかして津ヶ谷さん今日も実は家でゆっくりしたかったとか?

そんな私の考えを察したのか、津ヶ谷さんはふっと笑ってみせる。



「けどまぁ、外面繕わなくていい奴と過ごすのはいいな。居心地、いい」



それは、私とならということ?

ただ思ったことを軽く口にしただけなのかもしれない。けれど、その言葉が嬉しくて、胸をキュンとときめかせた。



居心地、いい……か。

思えば私も。全てを知られてしまった津ヶ谷さんの前では素のままの自分でいられる。

居心地がよくて、安心できる。



この気持ちは、素を見せられる相手だから感じるものなのかな。

それとも、津ヶ谷さんだから?

どちらかはわからない、けど。



「そう、ですね。私もそう思います」



同意する言葉とともに、思わず笑みがこぼれた。

すると津ヶ谷さんは先ほどまで私の肩を抱いていた右手で、今度は私の左手をとる。

自然な流れで手をつながれ、驚いてしまうけれど、この手を包むその長い指先に胸がドキリと跳ねた。



人から見たら、今の私たちはどう見えるのかな。

普通の恋人同士?それとも、新婚夫婦?

本物に、見えていたらいいな。



そう願うように、ドキドキと心臓がうるさく音を立てた。


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