旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「いただきまーす」
自分の声だけが虚しく響くのを聞きながら、お味噌汁をひと口飲む。
相変わらず小西さんの味付けはおいしい。……けど、ひとりだとなんだか寂しいなぁ。
「そうだ!昨日アニメ録画しておいたんだった!」
私のテレビの調子が悪かったから、こっそりと居間のテレビに録画しておいたんだよね。
今のうちに見てしまおう、と思い出してテレビをつけると、画面には見慣れたキャラクターたちが並ぶ。
その中に涼宮くんの姿を見つけると、途端に頬が緩んだ。
小さな顔に丸い目、やっぱり涼宮くんはかっこいいなぁ……。
いつものようにうっとりしてしまうけれど、津ヶ谷さんの『このオタクめ』と笑う顔が思い出されてすぐ我にかえる。
って、いない時まで津ヶ谷さんの目を気にする必要なんてないのに。
なのにどうしてか、いまいちテレビの涼宮くんに熱中できない。
少し前までは、こうしてひとり涼宮くんを観ている時間が一番幸せだったはずなのに。
どうしてこんなに、ひとりの時間に寂しさを感じたり、津ヶ谷さんの姿ばかり思い描いてしまうんだろう。
……津ヶ谷さんは、いつもこうしてこの広い部屋でひとりでごはんを食べているのかな。
小西さんも帰って、私も寝ていて、誰とも話すこともなく。
そう思うとなんだかこちらも寂しく思えて、今日は起きて待っていようと思った。
そうだ、せっかくだし料理本読んでお弁当のおかずでも見ながら待とう。
そう決めて私は食事を済ませ、お風呂に入り、ひとり居間で本を広げた。