強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
恐る恐る鍵を開けて、部屋に入る。
電気をつけて、廊下をゆっくりと歩き、リビングに行く。すると、すぐに違和感を感じる。
部屋にあったものがなくなっているのだ。千春のものだけが。
「っ………!」
秋文は急いで寝室や洗面台なども見るけれど、やはりなくなっている。
そして、残りの奥の部屋。そこは、千春の物を置いていた部屋だった。
そこをゆっくりと開ける。
そこには、千春の物全てなく、何もない空き家になっていた。
秋文は呆然とその部屋を見わたすけれど、何もあるはずがなかった。
「千春………、どうして。………どこに行ったんだ?」
この家にはいないだけかもしれない。
何か嫌なことを彼女にしてしまって、自分の家へ帰ってしまったのだろうか。
頭の中では、「そんなはずないだろ。違うってわかってるんだろう。」と冷静な自分が言っていた。
けれども、それを認めたくなかった。
秋文は駆け出して、今すぐに千春の家へ向かおうとした。
リビングを通った時、テーブルの上に見慣れないものがあるのに気がついた。
秋文はテーブルに走り、それを見るとそこには小さなプレゼントの箱と、見慣れた千春の字で書かれた手紙が置いてあった。
それを手に取り、急いで手紙を読む。
あっという間に読んでしまえる短い手紙だった。
「……千春っ!!」
秋文は手紙を握りしめ、綺麗に包装された箱をジャケットのポケットに入れて、家を出た。
向かうのは、もちろん千春の家だった。
焦りと混乱で、自分が今何をしているのかもわからなる。頭の中は、千春の事でいっぱいだった。
最後に見た彼女は、キスをされて恥ずかしながらも嬉しそうに微笑んでいた。その表情で、おまえは何を思っていたんだ?そう、千春に聞きたくても、彼女に、会えないのだ。