分け合う体温
「横山さん。あなたは何か、勘違いしているけれど。俺は決して由乃を弄ぼうとなんて、していない。」

「なに?」

「ちゃんと、由乃と付き合っています。」

すると英吾は、理人の事を殴った。


「おまえ。それが、どういう事なのか、分かっているのか。」

「分かっていますよ。」

理人がそう言うと、英吾はまた殴り掛かろうとした。

「止めて、英吾!」

「止めるな、由乃!」

「だって、好きなんだもん。仕方ないじゃない!」

英吾は、私の方を見た。

「……好きなの、理人が。」

涙を流す私に、英吾は理人から離れた。


「付き合うって言ったって、どうするんだよ。将来、どうするんだよ。いつか、別れなきゃいけない日が来るだろ!」

胸が痛かった。

英吾の言う通りだ。
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