溺甘系朧咲夜【完】
へ? と顔をあげれば、噂をすれば影、だった。
流夜くん――神宮先生が、ふゆちゃんと並んで歩いていた。
方向的に《白》でも行く感じだけど……あれ? これやばくない?
「うわ、何あの美人。もしかしてあれが相手の女?」
やっぱりか! この手の誤解は何度もされてきてる流夜くんとふゆちゃんだけど、タイミング悪いな!
「ちょっと話しかけてくる!」
「え、ちょ、待ってって」
止めようとした私を振り切って、一人が駆けだしてしまった。仕方なく、みんなであとを追う。
「神宮先生!」
「ん? ああ、みんな今帰りか?」
「神宮先生、その人は……」
先にたどりついていた子が胡乱にふゆちゃんを見る。やっちまったー! あとでふゆちゃんの怒りが爆発するよ……。
ふゆちゃんは流夜くんに、「学校の生徒?」と訊いている。
それからすっごい満面の笑顔を見せた。
「はじめまして。僕は春芽吹雪。ご覧の通り、流夜の幼馴染の男友達だよ」
ご覧の通りって……怒り、マックスですね。