甘くて、苦くて

その日の夜、無性に村井君と話したくなった。

好きな人がいるのか、聞きたくなった。

幼馴染とはどういう関係なのか。

聞きたくないけど、聞きたい。

だから、ラインしたんだ。

[ いま電話しない? ]

2回目の電話の誘いは私からだった。

それなのに、村井君の返事はそっけなかった。

【 ごめん。疲れたから寝る 】

そんな風に言われたことは今までなかった。

寝るときも、また明日ねって言うし、

むしろ、おやすみを言わない日の方が多かった。

朝、またラインが続くからそれも良かった。

通知とともにメッセージが見れたけど、

それを開いて既読をつけることができなかった。

また、私、泣くのかな。

こんなこと、一度もなかった。

なんで?なんで?で頭がいっぱいになった。

誰かに村井君の気持ちを聞きたくて、

誰かにどうしたら良いか教えてほしくて、

でも、誰にも言えなくて、

やっぱり、ひとりで泣いた。

[ そうだよね、ごめん!おやすみ!]

こう返して、私はひとりで泣いた。


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