甘くて、苦くて

次の日は最悪だったからよく覚えている。

朝、教室に入ったら

桜の彼氏の健斗君に話しかけられた。

「ねぇ、松本さんって晴人と付き合ってんの?

昨日一緒に帰ってなかった?」

周りに何人かいたのに、

健斗君はこっそり聞く、ということをしなかった。

周りにいた子たちも、騒ぎ出したけれど、

『あー…付き合ってないよ…

装飾係でたまたま帰りが一緒だっただけだよ』

私の答えを聞いて、興味を無くしていた。

「なんだよー、

晴人から雪以外の女の子の話聞いたことないから、

松本さんとそういう関係なのかと思ったじゃん!

やっぱ晴人は雪とお似合いだしなー」

健斗君の発言は、私をどん底に落とした。

私を困らせたいの?って思うくらいだった。

泣きそうになった。頑張って作った笑顔で、

「マネージャーの子でしょ?お似合いなんだね!

付き合えばいいのにね〜」

思ってもいないことを口にした。

その日のことはあんまり覚えてなくて、

せっかくの文化祭初日なのに、

村井君の幼馴染と村井君がお似合いなんだ

っていうことばかり考えていた。

恋愛って楽しくない。辛い。

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