甘くて、苦くて

文化祭2日目、

友達と一緒に帰ってずっと村井君の話をした。

夜、家に帰ってから、

村井君と2回目の電話をした。

誘ったのは村井君。

「もしもし」

『もしもし…』

好きな人が彼氏だなんて、

なんだか恥ずかしくて、照れ臭くて、

幸せでふわふわしていた。

「なんか…恥ずかしいね」

『うん…』

「健斗に、松本さんと付き合ったって、

言っちゃった。大丈夫だったかな?」

『うん。私も友達に言ったよ!』

「そっか、健斗びっくりしてたよ。

俺は雪と付き合うと思ってたって。」

村井君から 幼馴染の雪 の名前が出てきて、

彼女になったのに、心が痛くなった。

『2人は、お似合いだって…

前に健斗君が言ってたから…』

ちょっと声が小さくなってしまった。

「雪とはほんとになんもないよ」

『うん…』

「気にしてる?」

『ちょっとだけ、、、

村井君が女の子を呼び捨てにしてるの、

聞いたことないし…』

「ごめん、松本さんが俺のこと気にしてくれるの、

ちょっと嬉しい。

じゃあ、俺のこと名前で呼んでくれる?」

『はる、と…くん?』

「…照れ臭いね。呼び捨てでいいのに…」

『難しいよ…はる君でも良い…?』

「うん…それ、それが良い…

俺も、若菜ちゃんって呼んで良い?」

『お願いします…』

好きな人の彼女になるって、

こんなに甘くて、こんなに恥ずかしいんだ。

知らなかった。

みんな、すごいなって思った。

幸せだなって思った。


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