甘くて、苦くて

『ん……』

目を開けたら周りは真っ暗で、

私はソファで寝ていた。

あぁ、寝ちゃったんだ。

スマホを見ると3時すぎだった。

リュージュがかけてくれたブランケット。

優しくて、気の利く人。

そのリュージュもベッドで寝ていた。

駄目だ、クラクラする。

全部、全部、お酒のせい。

駄目だってわかっていた。

でも、お酒のせいって言い聞かせた。

そっとリュージュのベッドに近づいて、

リュージュの隣に私も横になったんだ。

リュージュの背中に抱きついたんだ。

「……若菜っ…」

静かな部屋、リュージュが息を飲む音が聞こえた。

『リュージュ…寂しいよ…』

ギュッとリュージュの背中に抱きついたら、

リュージュがこっちを向いて、

私を抱きしめた。

顔を上げると、リュージュと目があった。

しばらく、

と言っても3秒くらいかもしれない

私とリュージュは見つめあって、

私は目を閉じた。

最低な、駄目な女だった。

誘ったのは、私。

リュージュは私の唇にキスをして、

それから私とリュージュはひとつになった。

空は明るくなりはじめていた。


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