甘くて、苦くて
文化祭の最終日は、はる君と一緒に帰った。
はる君は健斗君をはじめ、
サッカー部のみんなに報告したらしく、
クラス公認のカップルになった。
恥ずかしいけど、嬉しかった。
学校から駅までの15分はあっという間で、
文化祭のことを話していたら
すぐに駅に着いてしまった。
「じゃあね!帰ったらラインする!」
『うん、ばいばい』
幸せいっぱいだった。
「あれ、晴人ー!
あ、ごめん、彼女さんいたんだ…」
この声を聞くまで…。
『じゃあ、私電車乗るね!』
はる君に手を振って、幼馴染さんに会釈して、
逃げるようにホームに降りた。
あんなになりたかった、
村井君の彼女になれたのに。
私はすごく欲張りで、
次は村井君のいちばんになりたかった。
村井君のことをいちばん知っている女の子に
なりたかった。