好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
ラジオを聞き終えた俺は、勉強が手につかなくなってしまった。



俺のせいで、ほのかは辛い立場になってしまった。

あの時、俺はどうしてほのかの手を握ってしまったのだろう。



ほのかは俺の幼なじみではなく、アイドルグループのセンターになっていた。

ほのかのイメージは昔のままで、彼女は芸能人だということを忘れていた。

いや、彼女はアイドルだとわかっていても、ほのかは俺のものだと証明したかったのかもしれない。



俺のせいで、ほのかは今も泣いているのだろうか。

ほのかに代わってファンに謝りたいが、俺にできることは何もなかった。



ラジオはいつの間にか、次の番組が始まっていた。

俺はラジオを止めて、問題が解きかけだったノートを閉じた。
< 122 / 210 >

この作品をシェア

pagetop