好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
それから、幼い頃一緒に遊んだ公園で、ほのかがオーディションに合格したことを伝えてくれた日を思い出した。

上京すると別れを告げたほのかの大きな瞳からは、涙がこぼれ落ちていた。



あの時、俺は素直に気持ちを伝えればよかったのだろうか。

『お前のことが好きだ』と吐き出しそうになった言葉を、あいつの涙を見て飲み込んでしまった。

あいつの手を離さなければ、今でも俺の隣で笑っていてくれたのだろうか。



あの日、俺が選んだ言葉は間違いだったのだろうか。

『好き』の代わりに『サヨナラ』を……



俺は、あの日のほのかの涙を思い出していた。



今度こそ、伝えにいく。

あの日、言えなかったこの言葉を……
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