好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
俺がほのかと週刊誌に載った男だと気づく人はいるだろうか。

まさかスキャンダル発覚後初の握手会に、本人が堂々と乗り込んでくるとは思わないだろう。



週刊誌に載ったのが俺だと気づかれたら、ほのかのファンから袋叩きにあうかもしれない。

それでも俺は、一目ほのかに会いたかった。



行列が進み、ほのかがいる白いブースが近づいてくる。

ブースの中から、罵声が聞こえた気がした。



ほのかは、大丈夫だろうか。

俺はリュックを下ろして、両手で前に抱えた。



俺の前に並んでいた男が、ほのかがいるブースに入っていく。

俺は手荷物を預け、握手券をスタッフに渡した。
< 136 / 210 >

この作品をシェア

pagetop