好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
もう一人別のスタッフも駆けつけて、ほのかは二人に支えられて奥へ連れていかれた。



ほのかがいなくなっても、俺の周りにはまだ人だかりができていた。

呆然と立ち尽くしている俺に、警備員の男が声をかけてきた。



「すみません。向こうの部屋で、少しお話させていただけませんか?」

「なんでだよ……」

一度は断ろうとしたが、俺は大勢のファンに取り囲まれていた。

スマホのカメラを俺に向けるやつもいた。

面倒くさいと思ったが、警備員と一緒にいたほうが安全なのかもしれない。



「少しだけ、お時間お願いします」

俺は高齢の警備員にうなずいて、後ろをついていった。
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