好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
握手会に続いて、デビュー曲が初披露される。

最初に握手を終えた俺は最前列に座ることもできたが、ほのかの目の前で観るとあいつに気づかれそうで、後ろの隅の方に立っていた。

どうしてデビューしたばかりのグループに、こんなに客が入るのだろう。

俺はステージに大勢の客が群がるのを不思議な思いで見ていた。



ステージにsnow mistのメンバーが登場する。

あいつは緊張しているのか、早足でうつむき気味に入ってきた。

娘の発表会を見守る親は、こんな気持ちなのだろうか。

『頑張れ、ほのか』と俺は心の中でつぶやいた。
< 41 / 210 >

この作品をシェア

pagetop