好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「これ、観に行かねぇ?」

俺の前を歩いていたほのかに追いついて、映画の前売券を見せる。



「こ、これ観るの……?」

あいつは、明らかに戸惑った表情をしていた。

自分が出演した映画は観たくないものだろうか……
やはり女心はよくならない。



「自分のは嫌?」

ほのかに不快な思いはさせたくない。

俺はほのかが嫌だと言えば、諦めるつもりでいた。



「全然、嫌じゃないよ」

俺はホッとして、あいつに笑顔を向けた。
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