エリート副操縦士と愛され独占契約
いや、呼び方がどうとか、それが悪いわけじゃない。
私だって、多少のマザコンなら目を瞑れた。


けれど、私をご両親に紹介してくれた後から、お母さんが干渉してくるようになった。
息子を溺愛するお母さんにとって、私は邪魔な泥棒猫。
そうやって愛されることを、塩野君も当然のように思ってる節があり、彼はいつも、私ではなくお母さんの肩を持った。


『上手くやってくれよ。ママは俺のこと大事に想ってくれてるから、ちょっと口出したいだけなんだからさ』

『ママのことで愚痴るなよ。それ以上言うなら、いくら理華でも許さないぞ』


両親を大事にする男の人なら、きっと私と作る家族も大事にしてくれるはず。
何度も自分にそう言い聞かせたけど、不安が募る一方で、結局限界を超えた。
この人とじゃ、私は幸せになれない。
塩野君との結婚なんて考えられなくなり、別れたのだけど。


そう見抜くまでに、一年半……。
あまりに情けない自分に滅入り、ビールのジョッキを再び手にして、グッと煽った。
水無瀬君は私を横目で見遣り、意地悪に畳みかけてくる。


「見る目がないってよりは、鈍いのか」

「っ、水無瀬君!」


その言い方はあんまりだ!とばかり、抗議する目で彼を睨む。
それには、水無瀬君も、ひょいと肩を竦めた。
< 16 / 21 >

この作品をシェア

pagetop