エリート副操縦士と愛され独占契約
慌ててごくんと飲み込んだものの、激しく咳き込んでしまう。


「ちょっ、なに、みなっ……」

「自覚しろよ。少なくとも、塩野と付き合ってたって時点で、見る目がないのは確定だろ」

「そ、そっちは自覚してる」


口元にハンカチを当て、涙目になってそう返した。
私も水無瀬君も、塩野君に対して酷い言い草だとは思うけれど、多分彼も私と同じことを脳裏に巡らせて言っている。
私にとってそれは、彼に別れを告げた最大の理由だ。


結婚なんて話が出る前に、そこに気付けていれば。
そうすれば、塩野君のプライドを傷つけずに済んだろうし、彼が今になってもネチネチ絡んでくることもなかったかもしれない。
私は、水無瀬君の前でがっくりとこうべを垂れた。


「同期会で顔を合わせたら話すくらいの付き合いしかない俺でもわかるぞ。ヤツが極度のマザコンだってこと」


水無瀬君が続けた一言に、私は無言で何度か頷いて返す。


「って言うか、俺たちの同期はだいたいみんな見抜いてると思うけど。会話の節々から匂い立ってるからな」

「そうよね……ほんと、早く見抜けてれば」


水無瀬君は、ほんのわずかな接点から、塩野君がお母さんを『ママ』って呼ぶほどのマザコンだと気付いてたのに。
私は恋人として付き合って、一年経過してやっと知った。
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