打って、守って、恋して。

夜、寝る前に一言だけでも彼にメッセージを送りたくて、携帯を手に取った。
ベッドの上で、簡素な文を作る。

『試合、お疲れ様でした。明日も頑張ってください』

このくらいなら、迷惑にもならないだろう。


送信ボタンを押して、ごろんと寝返りをうって間もなく。
彼からの返事が届いた。

『ありがとうございます
明日も一番セカンドで出ます』


やっぱり先頭打者なんだ。

思わず起き上がってベッドの上に正座して、あれこれ文面を考えたもののうまくまとまらない。

ふと前に翔くんと交わした会話を思い出して、指を携帯画面の上でスライドさせた。


『応援してます。おやすみなさい』

いかついウサギが布団をかぶっているスタンプも追加して押しておいた。
彼からは『おやすみなさい』とオウム返しするだけの返事しか来なかったけれど。

律儀に返事をくれる彼は、とても優しい。


明日もどうかいつも通りの彼でありますように、彼の能力がいかんなく発揮されますように。
そう願いながら、眠りについた。



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