打って、守って、恋して。

「秋季キャンプが終わってから、都内で柑奈と住めるマンションを探してたんだ。寮を退所する手続きを済ませて、引越しの手配もした。あとは柑奈が来てくれるだけでいい」

「プロポーズ断ったらどうするの?」

「断られることは想定してなかった。……もしかして振られるの?俺」

こんな時に意地悪を言う私って相当ひねくれている。
なんて可愛くない女だろう。

「時にはイレギュラーも必要かと思って…」

「ほんといらない!そういうの」

「年間通してエラー二つしか出てないくせに」

「あの、柑奈、プロポーズの返事は?」

別に焦らしているつもりはなかったのだけれど、そう思わせたのなら申し訳ない。


「答えは、一年前から決まってるよ」



じつは、アスリートフードマイスターの資格は、少し前に取得済みなんだよ。知らなかったでしょう?

ずっと待っていたプロポーズは、あっさりと道端でされたから拍子抜けしたけど。

それでも、やっぱり、涙が出るくらい嬉しかった。












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