死にたい君に夏の春を
こんな姿、はたから見たらものすごくダサいだろうな……。


九条はかっこよく余裕で越えてしまったが、僕は必死に登っている分、滑稽に見えるらしい。


今だって、彼女がニヤニヤしながら僕を見ている。


仲良くなったぶん、イメージと違う一面もお互いわかってきたな。


そして、苦労してなんとか上まで登ることが出来た。


「ほら、簡単だって」


調子に乗ったセリフを言って、地面へジャンプをする。


しかし、着地の仕方が悪かったのか、体制を崩しそうになった。


すると、とっさに九条が僕の体を支える。


彼女と目が合う。


「大丈夫?」


近い。


一瞬時間が止まったように感じる。


突然の出来事に動揺して、反射的に彼女から離れる。


「い、いや、だいじょ……痛っ」


急に、足首に電撃が走ったような痛み。


思わずしゃがみこむ。


どうやら着地する時に足を捻ったらしい。


捻った場所が変に熱い。
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