死にたい君に夏の春を
チカチカとしながら、目を細めて光の方向を見る。


すると校舎裏の花壇の方から、懐中電灯を照らした警備員がこちらを見ている。


そうか、人の気配がなかったのは外にいたからなのか。


想定外だった。


思わず、足がすくんで動かない。


「走って!」


九条の声でふと我に返る。


彼女は僕の手首を掴んで、走り出した。


「おい待て!」


当然、血相を変えた警備員が追いかけてくる。


だが校門までは遠い。


このままだと、追いつかれるのは時間の問題だ。


そんなことを思いながらも、必死に走る。


しかし、急に足首に強烈な痛みが走る。


その衝撃で、膝がガクンと崩れ落ちた。


砂の地面に手をついて、擦りむいたのか、捻挫とはまた違う痛みが僕を襲う。


僕の手首は九条の手から離れ、驚いて彼女は振り返る。


焦りながらも、僕と警備員を交互に見た。


ここで立ち止まれば、二人とも捕まってしまう。


だったらせめて、彼女だけでも。


「僕はいいから!先行って!」


どこかで聞いたようなベタなセリフ。


我ながら気持ちの悪いことを言ってしまったな。
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