死にたい君に夏の春を
今日は何故こんなにも、僕の嫌いな奴に会うのだろう。


九条は熱を出すし、僕は怪我をしたままだし、散々な1日である。


明日はいい日になることを願いたい。


もし九条の風邪が治ったら、2人でどこか出かけるというのはどうだろう。


いつも長袖の制服だと暑そうだし服を買ってあげたり、おいしいご飯を食べたり。


青春らしいことを沢山しよう。


そしたら、このモヤモヤした気持ちを忘れられる。


父親とか、母親とか、織部とか、樹とか、嫌いな奴も嫌なことも全部忘れて、この夏をいい思い出にしたい。


あの時は楽しかったな、なんて語り合える日に。


じゃないと九条の本当の願い、最期を知るのに相応しい人物になれない。


彼女に必要とされたい。


「高階くんでよかった」って言われたい。


僕の生まれた意味を見つけたい。


もう満たされたと思っていたのに、心にぽっかりと穴が空いてることに気づく。


この穴はなんなのだろう。


きっと僕の知らない感情だ。


憎しみや喜び、楽しびとは違う。


何かが足りないのに、わからないことにもどかしさを感じる。
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