大江戸シンデレラ

屋敷で支度された美鶴の膳は、奉公人たちと同じものであった。

つまり、お菜がなく、米の飯とおみおつけと香物のみだったのだ。


吉原の(くるわ)は一見華やかに見えるが、(おんな)たちに供するおまんま(・・・)は実にお粗末なものであった。

それでもなにかしらのお菜はあったし、客が残した御馳走にありつける日も少なくなかった。


美鶴にとって、かようにお菜のない日が続いたのは——生まれて初めてのことだった。

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