大江戸シンデレラ
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「……とまぁ、こういうこった」

多聞は流石(さすが)においそれと明かせぬ「御前様」の(くだり)は伏せていたものの、兵馬に「想い人」がいたことは美鶴に正直に話した。

「おめぇさんには酷な話だがよ。
隠しておくよりゃ、知っておいた方がいいと思ってな」


多聞の話をじっと黙って聞いていた美鶴は、

「舅上様、わたくしのような者にさようにまでお気遣い(たまわ)り、誠にありがたきことにてござりまする」

深々と平伏した。


「……返す返すも兵馬の野郎にゃあ、もったいねえくれぇの嫁御だってんのによ」

一体(いってぇ)だれに似たんだか、とぼやいて、はぁーっと多聞がため息を吐く。

「そいでもって、その『相手』だがよ」

美鶴は(おもて)を上げる。

「おめぇさんも、よっく知ってるおなご(・・・)のはずさ」

——わたくしも、知っているとは……


久喜萬字屋(くきまんじや)で、振袖新造(ふりしん)やってたっ()うおなごだ。南町奉行所(うち)の息のかかった岡っ引きや下っ引きに調べさせたところによると……」

——も、もしかして……

「あいつら、しょっちゅう人目を忍んでは、吉原の(はじ)にある御堂で逢引してやがったらしい」

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