停留所で一休み
その瞬間の、本村君の顔。

ハッと目を丸くして、まるで気が抜かれたように、私を見つめていた。

なに?

何が起こった?


「もう仕事終わり?」

いつもはあいつを見ると、顔をしかめてたけれど、今日は不思議な事に笑顔を見せられる。

気持ちが前向きになった、証拠かな。

「いや…これからお母さんと……」

「へえ、頑張ってね。あっ!うちのお母さんに、変なもの売りつけないでよ。」

「ばーか。うちの商品に、変な物なんてねえよ。」

いつものあいつの憎まれ口も、今日は面白く聞こえる。


そんな時に、母からの余計な一言。

「本村さんは、出海の事、気に入って下さってるの?」

「えっ?」

「ちょっと、お母さん!」
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