停留所で一休み
そう言って私は、恥ずかしながら、またホースで水を撒いた。


「おまえ、変わったね。」

あいつの口調は、明らかに優しくなっている。

「そうかな。」

「全然、印象が違くなったよ。」

「どんなふうに?」

「生き生きしてるし、すっげー明るくなった!」

その言い方に、私は調子が狂ってしまう。

「ね、ねえ…」

「ん?」

言うなら、今だと思った。

「私……東京に戻ることにしたんだ。」

少し声が上ずってしまった。

「そっか。おまえも決めたんだ。」

「うん。」

わざわざあいつを見なくても、私には分かった。

あいつが、私をずっと見つめていることを。


「本村君も、東京に行くんでしょ?」

「うん。」
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