停留所で一休み
「な~んだ。俺がいるからじゃないのか。」

部長は目を細めながら、大笑いをした。

「えっ!!はははっ…それも、無きにしも非ず…」

「大体、有給の半分って言ったのに、全部使い切りやがって。」

「すみません…」

「おかげでこっちは、おまえの分まで仕事させられた。」

「本当に、すみません。」

私が謝ると、部長は、おもむろに上着の内ポケットから、白い封筒を出した。


「それ…」

「おまえの退職届だ。」

部長はタバコをくわえると、それを半分に破いた。

「こんな物、二度と俺の前に出すなよ。」

怒っているように見えて、心の奥では、頑張れと励ましてくれているようだった。


「はい!!」

部長は私の前にコップを置くと、ビールを注いでくれた。
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