三日月と狼
哀しそうな花澄の顔をを見てヒロはだから自分はダメなんだと思う。
「迷惑とかそんなんじゃないよ。」
ヒロはそれ以上、花澄を責められず
ただ黙って花澄と並んで歩いた。
そして目的の場所に着くと
「あそこのラーメン屋。」
と指を指した。
花澄はその指の先にある、壊れそうな小さな屋台を見て唖然とした。
「ここのラーメン?」
「うん。ビックリだろ?」
そこは深夜しかやってない知る人ぞ知る屋台のラーメン屋だったが
その味は絶品で口コミで拡がり
深夜だけしか営業しないというのに毎晩のように行列が出来るほどだった。
「こんな夜遅くにこんなに人が並んでるの?」
「うん。めっちゃ美味いんだ。
花澄ちゃんも食べたら虜になっちゃうよ。」
「なんかワクワクしてきちゃった。」
花澄の顔がぱあっと明るい笑顔になって
それだけでヒロは幸せな気持ちになる。
さっきまで自分のものにならなくて憎いと思っていたが
その笑顔が可愛くてまた恋をしてしまう。
二人で20分ほど並んでやっと席に着いた。
メニューはしょうゆラーメン一品のみ。
シンプルなその一杯は花澄の心まで温めた。
「ホント美味しい!虜になっちゃう。」
「だろ?」
「私、仕事がキツくてたまに家を出た事、後悔したけど…
家を出なかったら見えない景色が沢山あるって気がついたの。
このラーメンもそうだし、ヒロさんともこうやって知り合えた。
だから後悔してない。
もう戻る気は無いし…夫ともちゃんと話すつもり。」
ヒロは黙って聞いていたが、
一人で頑張ろうとしてる花澄を何度も抱きしめたいと思った。
そして花澄が話し終わると一言呟いた。
「それがいいよ。」
「ちゃんと自立出来るように頑張りますから
もう少し置いてくださいね。」
「いつまでだって好きなだけ居ていいよ。
その方が俺もケイも楽しいし…」
今のヒロはそう答えるのが精一杯だった。
これ以上気持ちを押しつけたら花澄の居場所が無くなってしまうからだ。
そして二人で家路に着いた。
家に戻るとケイは一人でDVDを見ていた。
「迷惑とかそんなんじゃないよ。」
ヒロはそれ以上、花澄を責められず
ただ黙って花澄と並んで歩いた。
そして目的の場所に着くと
「あそこのラーメン屋。」
と指を指した。
花澄はその指の先にある、壊れそうな小さな屋台を見て唖然とした。
「ここのラーメン?」
「うん。ビックリだろ?」
そこは深夜しかやってない知る人ぞ知る屋台のラーメン屋だったが
その味は絶品で口コミで拡がり
深夜だけしか営業しないというのに毎晩のように行列が出来るほどだった。
「こんな夜遅くにこんなに人が並んでるの?」
「うん。めっちゃ美味いんだ。
花澄ちゃんも食べたら虜になっちゃうよ。」
「なんかワクワクしてきちゃった。」
花澄の顔がぱあっと明るい笑顔になって
それだけでヒロは幸せな気持ちになる。
さっきまで自分のものにならなくて憎いと思っていたが
その笑顔が可愛くてまた恋をしてしまう。
二人で20分ほど並んでやっと席に着いた。
メニューはしょうゆラーメン一品のみ。
シンプルなその一杯は花澄の心まで温めた。
「ホント美味しい!虜になっちゃう。」
「だろ?」
「私、仕事がキツくてたまに家を出た事、後悔したけど…
家を出なかったら見えない景色が沢山あるって気がついたの。
このラーメンもそうだし、ヒロさんともこうやって知り合えた。
だから後悔してない。
もう戻る気は無いし…夫ともちゃんと話すつもり。」
ヒロは黙って聞いていたが、
一人で頑張ろうとしてる花澄を何度も抱きしめたいと思った。
そして花澄が話し終わると一言呟いた。
「それがいいよ。」
「ちゃんと自立出来るように頑張りますから
もう少し置いてくださいね。」
「いつまでだって好きなだけ居ていいよ。
その方が俺もケイも楽しいし…」
今のヒロはそう答えるのが精一杯だった。
これ以上気持ちを押しつけたら花澄の居場所が無くなってしまうからだ。
そして二人で家路に着いた。
家に戻るとケイは一人でDVDを見ていた。