あり得ない男と、あり得ない結末
「そうだなぁ……俺、美麗はもっとツンツンしていて融通きかない奴だって思っていたけど。単純に世界の狭い女なんだなってことはわかった」
「人をもの知らずみたいに言わないでくださいよ」
「だってそうだろ。……まあ、あいつらがこぞってお前を可愛いっていうのは分かったかな。お前、ツンデレだもん」
心臓が大きく跳ねた。
昨日までとは違う心の動きに、自分がおかしくなったんじゃないかと思ってしまう。
「お前は? 変わった? 俺の印象」
「そうですね」
問い返されて、考える。
たしかに変わったかもしれない。
もっとずっとちゃらんぽらんで、どんな女の子にも声かけるような軽い人だと思っていたのに。
「思っていたより、柔軟で行動力がありました」
状況が変わったら、それに合わせた代案をすぐ出せる。一つにこだわっていたら絶対に持てないしなやかさが、彼にはあった。
「……それと、思ったより紳士でしたね」
「なんだよそれ」
「だって」
ちくん、と胸が痛む。おかしいな。私はそれに、安心したんじゃなかったの。
「据え膳は食べる人だと思っていたのに、その素振りさえなかったから驚いたんです。まあ私相手じゃ、その気にならなかっただけかもしれないですけど」
自虐的なことを言っているからか、どんどん胸が痛くなる。
「はは、何言ってんだよ、お前。俺に本気で手ぇ出されたらビビるくせ……」
阿賀野さんがこちらを向いて、動きを止める。視線が注がれているのが、嫌でもわかった。
私一体、どんな顔しているの。顔が熱くてたまらない。