碧い瞳のシャイ

お婆さんは淋しい笑みを浮かべる

「想いだけではどうにもならないの…老いとはそういうものだわ」

「だったらなぜ…彼のいる 方角を見つめているの?」

お婆さんは一瞬ピクッとして

何も言わなくなった

去り際にシャイは伝えた

「ねえ、知ってる?…今君が見つめてる先に、海に繋がる川があって、川を抜けた海の海流は舟を漕がなくても運んでくれるんだよ…心が繋がってる人の元へ」

そう伝えて…

シャイは白い砂丘の彼方へ去っていった

シャイが去った後

お婆さんは日が暮れても

ベランダで椅子に身を委ね

ずっと湖の彼方を見つめていた



次の朝…

朝陽に煌めく湖面に

一艘の小舟が波の筋を描いていた

その日の夕暮れ

桟橋から望む水平線に

小舟のシルエットが浮かび上がる

やがて小舟は桟橋に着き

桟橋の上には

抱き合う男女の姿が在った

陽は眠り…

月が目覚めて

満天の星に祝福されながら…






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