碧い瞳のシャイ
大きな街の少女


少女は驚かない

シャイが二本足で

白い砂丘から歩いて来ても

大きな街の

高いビルの屋上から

少女はシャイを見つけた



「なぜそんな所にいるの?」

いつの間にか

シャイは少女の側に来ていた

「あなた…誰?」

シャイは答えた

「ぼくはシャイ…そう、イジメられたんだ」

やっぱり少女は驚かない

「心を覗くなんて、あんまりいい趣味じゃないよ」

「聞こえてくるんだよ」

「…同じことだよ」

少女はうつむいたまま

下の景色を眺めている

シャイはそっと

少女の隣りに腰掛けた

腰掛けて

少女の手を取って

自分の胸に押し当てる

「ほら…あったかいでしょ?」

次にシャイは

少女の手を少女の胸に押し当てた

「やっぱり…あったかいでしょ?」

少女はシャイの色違いに反射する瞳を見つめた

「宝石みたいな瞳だね」

「うん…」

ほんの少し微笑む少女に

シャイは優しい笑顔で答える



「ぼく…もう行くね」

「…うん」

屋上を後にするシャイを見送ると

少女は…

宙に浮かせていた足を戻した


< 3 / 13 >

この作品をシェア

pagetop