碧い瞳のシャイ
牧場の少年


少年は泣いていた

牧場の丘の片隅で

泣いてうなだれていると

白い砂丘の彼方から

シャイが歩いてやって来た



シャイは尋ねる

「ぼくはシャイ…なぜ泣いてるの?」

少年は答える

「カイルが死んじゃう…」

「牧羊犬のカイルだね」

少年は驚いた

「なぜ分かるの?」

「君の心の声が聞こえてきたんだよ」

少年はシャイに尋ねた

「だったら、カイルの声も聞こえるの?」

シャイは答える

「もう、聞こえたよ…」

「カイルなんて言ってたの?」

シャイは黙ってる

少年はシャイの肩を揺すった

「お願いだよ…教えてよ!」


シャイは静かに口を開く

「自分で聞きなよ…カイルが大好きな君なら…聞こえるはずだよ」

少年の瞳から、いっそう涙があふれ出る



シャイは言った

「ところで…君はなぜ、カイルの側にいないの」

少年はハッとして

牧場の丘を駆け降りていった

シャイは複雑な笑みを浮かべる

「カイルは…『ありがとう』て、ただそれだけを言ってたよ…」

少年の後姿が消えた時

シャイの後姿も…

白い砂丘の彼方へと消えていった


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