ハイスペックなイケメン部長はオタク女子に夢中(完)
28.いつの間にか恋愛相談

倉本が突然、

「あのさ、もしかして、なんだけど…北見さんとなんかあった?」と言った。あやめが驚いて倉本を見ると、

「…やっぱり、吉田さんのことだったんだ。」と倉本が言った。

「な、何がですか?」とあやめが聞くと、

「この間北見さんが、若い女の子との距離を縮めるにはどうしたら良いかって真剣に悩んでたから。」と倉本が言った。あやめが思わず、

「は?それ、北見部長が倉本さんに相談したんですか?」と聞くと、

「相談っていうか、残業してたら、くらーい顔の北見さんがフラーと営業のフロアに入ってきて、島田さんってうちの課の先輩に誘導尋問されてぼやいてた。」と言った。

「でも、なんでそれがあやめちゃんだって分かったの?」と正に今聞きたいことを藍子が聞いてくれた。

「北見さんに、ハイスペックなイケメンは遠くからご尊顔を拝すぐらいが丁度いいって。言ったでしょ?」と倉本に言われ、

「言ったかもしれません…」と言うと、倉本はやっぱりと笑った。藍子が

「えー?何それ?どんな人?」と聞くと、

「デザインの部長で、私がデザインに居た時の上司。」と倉本が言うと、

「え?昔、杏に一緒にフランスにいかないか?って言ってた人?戻ってきたの?」と藍子が言った。えー?それってプロポーズじゃんと思っていると、倉本が

「そうそう。何か知らないけど、あの頃やたらと気に入られてたんだよね。芸術家肌っていうか、ちょっと常識外れな所あるけど、基本的には良い人だよ。」と言った。あやめは思わず、

「何で一緒に行かなかったんですか?」と聞いた。倉本は、

「そりゃ、普通、上司にそんなこと言われたからってついていかないでしょ。彼氏でもなんでもないのに。」と言った。あやめは

「え?北見部長、倉本さんにちゃんと告白しなかったんですか?」と聞いた。倉本は、

「告白なんかないよ。飲み会で絡まれることはあったけどね。」と笑った。あやめは、それって倉本さんが気付いてないだけじゃないか…と思っていると、

「ま、相手は本気だったと思うけどね。なにせ杏はそういうの、ものすごく鈍感だから。」と藍子が言った。あやめは思わず

「やっぱり…」と零した。藍子が、

「で、今度はあやめちゃんがその北見さんに告られちゃったの?」と聞くので、

「はい…。」と思わず答えてから、しまった!と思うと、倉本が

「え?ホントに?」と身を乗り出した。あやめは、仕方なく頷くと、倉本は心配そうに、

「何か悩んでる感じ?」と聞いた。あやめは、

「はい。っていうか…何でこんなことになっているのかよくわからなくって…」と答えると、

「北見さんのこと嫌い?」と倉本が聞いた。あやめは、正直に、

「好きとか嫌いとかそういう次元で見たこと無くて…。私にとっては、イラストのモデルとして見る対象だったのに、何か突然そんなこと言われて、どうしたら良いのかわからないんです。」と答えた。藍子が

「別に嫌いってわけじゃないんでしょ?」と聞くので、あやめが曖昧に頷くと、

「じゃぁ一回付き合ってみたら良いんじゃない?」と藍子が言った。あやめが、

「でも、あんなハイスペックなイケメンの彼女なんて、気が重いです。」と呟くと、倉本が

「ハイスペックなのもイケメンなのも吉田さんにとっては重荷なのか…」と言った。あやめは

「なんで私なのか意味わかんないし。冗談なんじゃないかなって。」と言った。倉本は

「吉田さんは冗談だと思いたいってこと?」と聞いた。あやめが頷くと、

「でも、あやめちゃんは実際にその人に告られたんでしょ?」と藍子が聞くので、

「…はい。」と北見に言われたことを思い出しながら答えると、

「何て言われたの?」と藍子が興味津々で聞いてきた。あやめは、戸惑いながらも、

「好きだって。付き合って欲しいって。返事は急がなくて良いから、オレと付き合うこと、少し考えてって言われました。」と答えると、

「疑いようがないくらいストレートな告白だね。」と藍子が言った。倉本は

「あの北見さんがそんな風にストレートに告白するなんて想像できない。」と言った。あやめが、

「やっぱり、夢だったのかな?」と呟くと、

「いやいやいや。それはないでしょ。で、あやめちゃんは何て答えたの?」と藍子が言った。

「少し時間を下さいって答えました。とりあえず、頭も混乱してたし、落ち着いて考えなきゃって思って。でも、考えれば考えるほどわからなくなっちゃって…。」とあやめが言うと、

「それでこないだあんな表情だったんだね。」と倉本が言った。あやめが倉本を見ると、

「こないだ雑貨屋の前で会った時、すごい悩んでる顔してたから。」と倉本は言った。あやめは、

「だから声かけてくれたんですね。」と苦笑いをすると、倉本は

「んー、先に気づいたのは祐さんなんだけどね。あの子大丈夫かな?って言われて見たら、吉田さんだったから驚いちゃって。」と言った。あやめは「社長」はたすくさんというのか…と頭の片隅にインプットしながら、

「ありがとうございます。あの時声掛けてもらえなかったら、多分私今、もっとどん底な状態で悩んでます。」とあやめが言うと、倉本は不思議そうな顔をするので、

「私、倉本さんに勝手に憧れてて、コンペの時からずっと、もっと話してみたいなって思ってたんです。だから、それが叶って、めちゃめちゃ嬉しくて。そのお陰でここ数日は、北見部長のこと考えずにいられたんで。」とあやめは言った。倉本は苦笑いをしながら、

「私も吉田さんと話したいと思ってたから、ちょうど良かったんだけど…北見さんのこと、デザイン企画の部長だってことも、イケメンだってことも忘れて、一回北見さん自身を見てあげてくれない?」と言った。あやめが驚いて倉本を見ると、

「私が言うのもなんだけど、北見さんってちょっと常識はずれなところあるけど、その北見さんがストレートに吉田さんに告白したってことは、相当本気だと思うんだ。だからさ、外見とか、ステイタス抜きにして、吉田さんがちょっとでも良いなって思えるなら、付き合ってみたら良いんじゃないかなって思って。」と倉本は言った。藍子も

「確かにねー。私はその人のこと知らないから何とも言えないけど、普通に考えて、ハイスペックなイケメンに告られて、わからないからって理由だけで切り捨てるのは勿体無いと思う。」と言った。あやめが

「でも、私、北見部長のこと全然知らないですし…。」と言うと、

「知らないから付き合うんじゃない?もっと知りたいからって。」と藍子は言った。あやめが驚いて藍子を見ると、

「あやめちゃんまだ若いんだし、別に急いで結婚相手探さなきゃいけないわけでもないんだしさ、その人と付き合う=結婚じゃないんだから。」と藍子が言った。

「でも、北見部長の年齢とか考えると…」とあやめが言うと、倉本は、

「そこまで考えるってことは、少なくとも吉田さんは北見さんのこと悪く思ってないってことでしょ?」と言った。あやめはそうなのかな?と思い曖昧に頷くと、

「隣りにいてみて居心地が悪ければその時にまた考えたら?私は、案外北見さんと吉田さん合うんじゃないかなって思うし。」と倉本は言った。あやめが何も答えられずにいると、

「まぁ、とは言っても、吉田さんの気持ちの整理がつかないとだしね。いっぱい待たせてヤキモキさせてあげたらいいよ。」と倉本は笑った。
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