前略、さよなら


「私は信じてないかな」

絞り出すように吐いた言葉は
乾いて聞こえなかっただろうか。


「まあ、そうだよねえ」

梨花が言った。

「都市伝説だよね。いわゆる」

琴葉が言って
部活の先輩の話に移っていく


__________


それなはほっとしてしまう自分に
胸のどこかがチクリとする。



梨花が話題に出した後も
ちょこちょこ耳にしたので

その都市伝説は流行っているらしかった。


だいぶ尾ひれがついて
バリエーションも様々だったが
大まかに共通しているのはやはり
過去に戻ることが出来る
といったものだった。


火のないところに煙は立たぬ。

だからきっと
いくつかは真実なのかもしれない。


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