前略、さよなら


陽がテンカする
というとクラスのほとんどが参加する。

だから
体育館は私のクラスの人だらけだった。


「テーンーカーッ」

高くあがったボールを誰かが拾う。


ゲーム開始の合図だ。


みんな一目散に
ボールから離れた。


私は陽の後ろに隠れた。


陽はどんなに私が近くにいても
私を当てないんだ。


だから陽の後ろは安全。


「うわあー!陽に当てられた!

みんな陽狙えー!」


そして陽はいつも最後の方まで残る。


「千代、僕の後ろばかりいたら
あぶないよ」

陽はそういって
私を守るために私から離れる。


「僕を当ててみろ!」

陽は足が速いから避けるのも上手なんだ。


そして私は
「千代アウトー!」

いつも最後の方まで残れない。


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