前略、さよなら


当てられたら
ステージの上に座る。


私はみんなを見ている方が楽しかった。


「ねえ、千代ずるい」

私より先に当てられた星華は
私の隣まで移動してきた。


「陽の近くにいったら
アタシは当てられるのに

千代は当てられない」


私は苦笑した。

苦笑しか出来なかった。


返す言葉が見つからなくて
いつものように悩んで
結局俯いた。


「あー、アタシ、トイレしてくる」


星華は立ち上がって
駆け足で体育館を後にした。


いつもなら
一緒に行こうと言うのに
今日は1人で行った。


それに全然戻ってこなかった。


私は不安になった。

まだ昼休みは続くけど
今日はいつもより早く
教室に戻ることにした。

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