しあわせ食堂の異世界ご飯3
ゆっくりナンをちぎると、中に白いものが入っていることに気づく。
「これは……」
 ちぎった切り口から、とろりと伸びたのはチーズだ。
 それがナンの重みの原因だったのかと、ローズマリーは納得する。
「確か、これもカレーと一緒に食べるのよね?」
 ローズマリーがナンにカレーをつけて食べて見ると、辛さとは別にチーズの濃厚な味が割って入ってきた。
 けれどそれは反発しておらず、まろやかなハーモニーを奏でているかのようだった。
 ただ辛い料理を出すだけではなく、辛さの中にある、凝縮された複雑な旨味をアリアの料理は教えてくれる。
「ふふ……っ」
 思わずローズマリーが笑ったのを見て、アリアは「いかがですか?」と問いかける。
「素敵だわ」
 ローズマリーはまず一言、簡潔に感想を述べた。
「ありがとうございます」
「麻婆豆腐も美味しかったけれど、カレーは使う材料や一緒に食べるナンで味に変化をもたらすことができるのね。そういう柔軟な発想は、とても好きよ」
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