しあわせ食堂の異世界ご飯3
高いということに目をつぶれば最高なのだ。
「エマさん、何か食べたい果物があるんですか? チラシに載っている果物は、今の季節では通常収穫できませんからね」
「いや、私が食べたいわけじゃないんだよ。もし、アリアちゃんが料理に必要ならと思ってね」
「私ですか……?」
 どういうことだと、アリアは首を傾げる。
 特にここ最近でそういった果物を食べたいということは告げていないし、購入するような予定も立ってはいない。
 不思議そうにしているアリアを見て、エマは苦笑する。
「アリアちゃんの料理のおかげでうちは人気店になったからね。アリアちゃんがほしい材料なら、手に入れてあげたいなと思ったんだよ」
「エマさん……」
 自分が食べたくて見ていたわけではなく、アリアが必要ならば購入しようと思ってくれていたらしい。
「今まではこんな注文書ももらえなかったんだけどね、うちが有名になったから、取引をしてもらえるようになったみたいだよ」
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