しあわせ食堂の異世界ご飯3
そう言って、リントはだし巻き卵にも手を伸ばす。
 ふわりとした卵の柔らかさと、大根の辛味とが絡み合う。卵なのに、確かに昆布の優しいだしの味が垣間見える。
「本当だ、メニューにある卵焼きとは違うんだな。だが、これも美味い」
「よかったぁ~! リントさんのお腹がペコペコなまま返すことがなくて、一安心です」
「ああもう、それは言うな……」
 リントはぐぬぬと眉をしかめるが、だし巻き卵を食べるととたんに表情が柔らかくなる。
 そんなところが、ちょっと可愛いなとアリアは思うのだった。

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