しあわせ食堂の異世界ご飯３

すると最初に感じたのは、濃厚な鮭の味だ。塩が強く効いていて、単品ではとてもではないが食べたいとは思えないだろう。
　しかしそれがいい調味料になっているようで、簡素な白飯がひときわ旨く感じられる。
　ごくんと喉を鳴らして飲みこむと、お茶の温かさが体全体にゆっくり染み渡っていく。疲れた体を抱きしめられているかのようだ。
　アリアに料理の感想を……そう思ったけれど、それよりももっと食べたいという衝動に駆られてしまう。
　左手でお茶漬けの茶碗を持って、口をつけてかき込むように食べていく。お茶の旨味がご飯に染み込んでいて、なんとも形容しがたい満足感。
　アリアが言っていた通りさらりと食べることができたので、疲れたときや夜遅くなってしまったときに食べたい一品だなと納得する。

　リントが夢中で食べるのを、アリアは嬉しそうに見る。
「気に入ってもらえたみたいですね」
「……ああ。まさかお茶をこんな風に使うなんて、思いもしなかった」