バツイチ彼に告白したら、予想外に溺愛されて困惑しています。
意気揚々とやってきた大島さんは、カウンターに乗り出すようにして少し声を潜めて言う。

「早川さん、合コンしない?女の子紹介して。」

はい?
来た早々何を言い出すんですか、この人は。

「えっと、私友達あんまりいないです。」

申し訳なさそうに答えたのに、大島さんは私の話なんて聞いてないんじゃないかと思うほどスルーしてくる。

「うちの課、若い女の子いなくて出会いがないんだよ~。」

「製作課のメンバーと合コンってことですか?」

「そうそう。男は若いやついっぱいなんだよねー。」

確かに現場作業だと女性の率は低いかもしれない。
ただでさえ男性が多い職場だ。
大島さんみたいにこうやって書類を取りに来たりする仕事でなければ、社内で女性と知り合うのは意外と難しいのだろう。

でもそれよりも、気になることがある。
製作課メンバーとの合コンってことは、紅林さんも来たりしちゃったり?

「だ、誰が来るんですか?」

「誰か呼んでほしい人いる?」

私の質問に、大島さんは更に前のめりになる。

呼んでほしい人って…。
そりゃ、一人しかいないんですが…。
どうしよう、言うべきかどうか。
でもチャンスだし。

「…紅林作業長。」

ぼそりと呟いた言葉を、大島さんは聞き逃さないどころか目を見開いて大げさなリアクションをした。

「ええっ!難しいこと言うなぁ。」

言ってしまったからにはもう引き下がれないわけで。
私は顔に熱が集まるのを感じながらも自分の意見を主張する。

「紅林作業長来るなら私も人集めます。」

そんな私に大島さんは目を細めながら、

「オッケーオッケー。まかせとけ。」

と、軽い返事をした。
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