夜のしめやかな願い

相変わらずって何。

目で問いかけるが、知らんぷりしている。

くやしい。

「相変わらずって何よ」

しぶしぶさゆりの方が折れた。

「数日前にインフルから回復したとは思えないほど、働いているんじゃない?」

疑問形で答えられても困る。

宗忠は自分で言って納得したように言葉をつづける。

「そうそう、相変わらず、何からか逃れるように、寝食を忘れて仕事に没頭しているさ」
「演劇のセリフ?」
「いや、ある程度の根拠からの憶測」
「ああ、そう」
「さゆさゆ、冷たいね。
 オミ兄も大変なんだよ。
 海外で仕事をしている分には、“海外”っていう免罪符で、父もあえて手を出さない。
 でも日本で仕事をするのなら、勘当するって言った手前、邪魔せざる得ないんだよね」
「おじさんも、そんな律儀に守らなくても」
「あの性格だよ。
 めんどくさいよね~って笑いながら、楽しく妨害しているに決まってるでしょ」

さゆりは内藤父の顔を思い浮かべた。

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